どうも、GOEMONです。今回は明日10月6日に決算発表のあるGameWithについて決算前にできる限り詳細に分析や解説、拙者の意見を余すことなく書き記しておきます。
よくあるアナリストレポートのようにIR資料から数字を持ってきてペイっと貼って終わりではなく、GameWithの主軸であるゲーム攻略サイトの長所や短所を踏まえた構造と、GameWithが決算でも説明のあったプレイスキルを要求するゲームのユーザー層とパズドラやモンストのユーザー層のサイト活用の違いについても解説を交えながら、これを読めば攻略サイト通になり、GameWithの決算分析が楽になれちゃうような内容になればと思っております故、長いですがお付き合いの程、よろしゅうに。
現状
まずは現状の把握。セグメントは3つに分けてあります。
・ゲーム攻略:GameWithの攻略記事部分、初期からあるサービスの核。アドネットワーク広告と受託で該当タイトルの攻略記事やページの作成などの売上が該当
・ゲーム紹介:アプリ/サイト上でのゲーム紹介記事やYouTubeでのタイアップ動画の売上が該当
・動画配信:動画ネットワーク広告、YouTubeのアドセンス収入もこちらに該当
最新の2021年5月期通期決算発表からQ4の売上構成比を見てみると下記のような割合です。
・ゲーム攻略:53.6%
・ゲーム紹介:28.3%
・動画配信 :10.4%
・その他 : 7.8%
半分以上をメインのゲーム攻略から稼いでおり、数年前からゲーム紹介や動画配信が徐々に伸びてきています。
ゲーム攻略は立ち上げ時から運営してきたサービスの基盤です。しかしながら、この攻略部分の伸びが鈍化、2017年5月期Q3の月間8.3億PVをピークに低下という状況でサービスの拡充が求められており、単なる攻略サイトからニュースやゲーム紹介を積極的に取り入れたゲームメディアとして進化しようというのがここ数年の動きになります。(この記事では以下、”ポータル化”と呼びます)
アプリはWebサイト上の導線を見てもわかるようにトップページが最新リリースタイトルやニュースの一覧になっています。「攻略」タブはWebサイト版、アプリ版はトップページからの導線は昔ほど重視されていないように見受けられます。Webですとそもそも検索からは該当ページに行きますしそれほど影響はなさそうですが、アプリ版で「攻略」をタップすると現在はポケモンユナイトの攻略ページに自動で飛ばされる仕様はやや難解です。
さて、ポータル化を進めているGameWithですが、なぜに圧倒的な攻略サイトの地位を築いたにも関わらずPV低下を招いてしまっているのか。
これにはGoogleの検索エンジンのアルゴリズムによる影響も多分に含まれますが、SEOの専門家ではないので割愛しつつ、攻略サイトそのものの構造による難しさを紹介します。
GameWith の急成長と攻略サイトの構造
はじめに、ゲーム攻略サイトを立ち上げる利点として、wikiベースのサイト構成はSEO対策がしやすかったという点が1つ。キャラクターやゲーム内ステージなどのコンテンツ数が多く、かなりのペースでページ数を爆増できることに加え、曜日別のイベントや定期的なアップデートによって最新情報が常に追加され、wikiベースでありながらも更新頻度が高く、そのゲームユーザーの訪問頻度も高く見積もれる点が挙げられます。
GameWithはそれまで一般ユーザーがwikiを編集するスタイルが多かったゲーム攻略wikを自社のライター陣でクオリティを担保しながら作り込んでいくスタイルで大きくなりました。
そしてその中でも一番の要因がモンストの攻略情報をいち早く網羅したことでしょう。GameWithのサイトリリースが2013年9月、モンストのiOS版が2013年10月、Androidが12月にリリースされています。前年にはパズドラ、翌年には白猫プロジェクトがリリースされ、大ヒットタイトルが多くあった時期にあたります。
この時にGameWithがモンスト攻略では一番という地位を築きあげられたのが大きかった。ステージ毎の攻略方法もすぐに更新されますし、新しいキャラクターが追加されれば可能な限り早くステータスも掲載されるという信頼感は他のサイトと比べても別格だったように思います。GameWithの攻略班による課金総額いくらよってなるぐらいすぐに更新されましたからね。
しかしながら、競合が居なかったわけではありません。GameWithより先にサービスを開始していた皆大好きアップバンク様の攻略サイトがパズドラでは圧倒的な地位を築いていて、GameWithもパズドラでは1位とはなれませんでした。
白猫プロジェクトに関しては正確なデータはありませんが、ヘビーユーザーの体感値と当時の検索上位を独占していた記憶からすると gamerch が圧倒的に1番でした。
パズドラ、モンスト、白猫プロジェクト。白プロはやや寿命が短かったですが、それでもこの3タイトルの人気が続いた期間の間、他のタイトルにも力を入れていたGameWithでも全タイトルでは圧倒的な地位を築くことはできておりませんでした(現在はAppBank崩壊によりパズドラもGameWithが強い)。
これが攻略サイトが抱える難しのひとつになります。つまり、1つのタイトルで圧倒的な地位を築いても他のゲームタイトルで同じ攻略サイトを使って貰えるとは限らず、タイトルごとにバラつきが出やすいサービス形態というわけです。
今人気のタイトル+攻略で検索してみると1番上に出てくるのが
・モンスト 攻略:GameWith
・fgo 攻略 :AppMedia
・プロスピ 攻略:Game8
となっています。おそらくトップ100 タイトルで1位の割合が高いのはそれでもGameWithだとは思いますが、リソースが多いからといって全人気タイトルで地位を確立できるとは限らないという点、ゲームには賞味期限があり人気タイトルが数年で廃れてくるにつれて攻略サイトも当然ながら該当タイトル関連PVが落ちてくるという点に注意が必要です。
その間に他のサイトが地位を築いたゲームが爆発的な人気タイトルになれば、実際にAppBankをGameWithが一瞬で抜き去ったように攻略サイトとして全体のPVも抜かされてしまうリスクもあります。
これが攻略サイトの難しい構造と考えています。
ゲーム性の変化
次にゲーム攻略サイトを取り巻く環境の中で重要なゲーム性の変化についてです。これについては2019年5月期Q3の決算発表の中でも言及がありましたが、パズドラ、モンスト、白猫プロジェクトなどの片手でピュイっとできるアクション系とはまた違った、PUBG、Fortniteなどのバトロワ系、ポケモンユナイトやLeague of Lgends(モバイル版)などのMOBAといったジャンルのタイトルがここ数年で大きく成長しました。
これらのタイトルはいわゆるPS(Player Skill)が要求されるゲームで、攻略情報をそれほど必要しない点が懸念されます。
ゲームをあまりしない方向けに簡単に説明するとモンストなどはガチャでキャラクターを集め、1-1、1-2などのステージ毎の敵(ボス)を倒していくので、キャラクターごとの能力やスキル説明のページ、ステージ毎の攻略ページなどをユーザーは欲します。このステージではどれこれのキャラでこうすると倒せますよ、と説明できるのです。
それに比べてPUBGのようなバトロワ系は1つのキャラクターを操作し、敵も誰か他のユーザーが操作している人間です。バトロワ系のほとんどが銃で敵を倒すゲームで、敵を狙い撃つ(エイム)スキルや立ち回りが要求されます。エイムのコツやマップ内のおすすめのポイントなどが攻略情報として需要がない訳ではありませんが、モンストなどのゲームに比べるとコンテンツ数も需要も遥かに低いでしょう。
MOBAもキャラクターごとのステータスはありますが、試合毎に毎回見たりするものではなく、定期的にアップデートされるバランス調整時にそのステータスの変化がどれくらい影響があるのか他の人の意見を知りたいという方以外は公式のパッチノートを見れば充分です。
MOBAやバトロワではPCゲームの場合、自分の戦績をチェックするためのサイトが主でこれらはゲーム会社側からAPIが提供されていてこそ成り立つサイト群です。しかも、ページを回遊することが少なく、自身の試合が終わったら自身のページを更新して戦績をチェックするのと、MOBAの場合は試合で使うと決めたキャラクターの装備(ビルド)を試合毎に1回開く程度の使い方が多く、それほど1ユーザーあたりのPV数や単価は高くありません。
スマホの通信環境やスペックが上がり、こうしたリアルタイムでの対戦型ゲームが増えて来るにつれて一斉を風靡したアクションRPG系のゲームばかりのストアではなくなりつつあるこの数年を見るに、これからも増えてくることが容易に予想されます。
ウマ娘のように攻略サイトが作りやすい大型タイトルも勿論今後も出てくるでしょうが、攻略情報があまり必要のないゲームも多くなってきているという点は見逃せません。
これらを踏まえた上で、GameWithが現状どのような施策を打っているのか、その施策は効果が出ているのか、今後の展望は明るいのかなど、次回、第二部の記事でさらに深堀りしていきます。
それではまた次回ノシ
第二部はこちら↓