GameWith 詳細分析レポート-②現在の施策と今後の展望
GameWith 詳細分析レポート-②現在の施策と今後の展望

GameWith 詳細分析レポート-②現在の施策と今後の展望

第一部では攻略サイトというジャンルそのものの難しさと近年増えているプレイスキルを要求するゲーム群と攻略サイトの相性について説明をしてきました。


第二部の本稿では、これらを踏まえた上でGameWithにどのような影響が出ていて、それらに対して対応、施策を行っているか、その施策は効果的なのかをチェックしていきます。


周辺環境

①ゲームタイトル別に攻略サイトの地位が確立しにくい
②攻略サイトを必要としないプレイスキルを要求するゲーム


GameWithのPVへの影響

ⅰ.モンストを代表に地位を確立してきたタイトルの人気低下に伴うPV低下
ⅱ.バトロワ系など、攻略サイトの需要が低いゲームの人気増加によるPV低下


現在行っている対応/施策


A.ニュースや新作タイトル情報を前面に出したポータル化
B.営業人員などを増やしゲーム紹介(受託型の攻略やタイアップ広告など)案件に注力
C.テレビCM等の大規模プロモーション
D.アットウィキ買収などユーザー層の拡張E.ブロックチェーンゲームの運営
F.英語版 GameWithなど海外展開
G.eSports関連への投資(自社チーム運営、大会開催、YouTuber関連も含む)


それではそれぞれの施策を見ていきましょう。


A.ニュースや新作タイトル情報を前面に出したポータル化


まずはメインのサービスの拡充ですが、やらなければならない施策ではあるものの現状ユーザー数を増加させるほどの効果は得られていません。そもそも、攻略サイトというのはリテンションが高く、一度気に入って貰えればそのゲームを遊ぶ間はサイトを使って貰える割合が高いのが特徴です。

よくサイト設計時にフロー型とかカタログ型とか言いますが、攻略サイトはカタログ型で、モンストのようにイベント頻度やキャラ追加頻度が高いゲームが出てくることにより、カタログ型だけど更新頻度も高いというのが膨大なPVを獲得できた理由のひとつでしょう。


それをニュースやゲーム紹介をメインにすると、どうしてもユーザーの定着率は下がることは避けられません。毎日使ってくれるユーザーもたくさん居るでしょうが、ゲームをしながらステージ毎にサイトを訪問し、キャラ性能やボス情報、おすすめデッキ編成などなどサイトを回遊していたユーザーと比べるとロイヤリティが違います。


攻略にはないバズニュースなど爆発力は秘めているものの、ゲームニュースですからやはり他のニュースサイトとの差別化もどこまで出来るかはやや懐疑的に見ています。


B.営業人員などを増やしゲーム紹介案件に注力
C.テレビCMの大規模プロモーション


ポータル化を進めると同時に2021年5月期は約7億円を広告宣伝費として計上しています。単純なアドネットワークの売上からタイアップ広告など単価の高い商材に注力していますから、広告宣伝費をかけて獲得したユーザーから得られる収益の方が高いと見込んでの大規模なプロモーションでした。


しかしながら、拙者としては時期早々だった印象です。2020年5月期Q2から四半期毎に400万円、500万円、2,400万円と試験的に広告宣伝費を使い検証後のプロモーションかとは思いますが、ユーザーの定着率が想定より低いのではないかと。


2021年5月期Q3資料より、約6億円をかけた2020年5月末から2021年5月期Q3までの間でアプリのDL数は67%増加したものの、PV数は前年同期比で増えておらず、プロモーションを打っていない場合は下げ幅がかなりのものになっていたと予測できます。


2020年5月末から21年5月期Q2まで3.2億円でアプリDL数は37%、Q2からQ3へは2.96億円で22%増、Q4はプロモーション施策を見直してCMを見送りとしています。


新規のユーザー獲得自体は一定の成果が得られたプロモーションにはなっていそうですが、そこからの定着率がやはり課題です。


ゲーム紹介の売上は営業の体制が整って順調に伸びているので、多少のPV減少が続いてもさほど問題はなく1~1.5年程度は安定するでしょう。2021年5月期で費やした約7億円の広告宣伝費も来期で回収+αも見込めそうですので、ここで獲得したユーザーが減り過ぎないうちにゲーム紹介で稼いだ資金でどうユーザーを留める施策を打つのかが重要です。


D.アットウィキ買収などユーザー層の拡張
E.ブロックチェーンゲームの運営
F.英語版 GameWithなど海外展開

2017年末頃から台湾版、eSportsチーム立ち上げ、英語版、グループチャットの「PiPi Talk」、「Manga With」といった新サービスの立ち上げが相次ぎ、2019年末にはアットウィキを買収、2020年4月にはブロックチェーンゲームの「EGGRYPTO」をリリースするなど、GameWith以外の新サービスも模索しています。


PiPi TalkとManga Withは影響が軽微なので無かったことにして、他の現状を見ておきましょう。


2019年末に買収したアットウィキですが、個人的にはとても良い買収に思えました。PV自体は2021年5月期Q3資料より1億PV手前をうろちょろといった規模感ですが、色々なジャンルのwikiがあるので次に力を入れるべきジャンルをいち早く発見できますし、何よりもゲームの攻略は何サイト持っていても良いのです。


解説した通り、ゲームタイトルごとに1番の地位を取ることはGameWithとて大変なので、社内でそれほど注力していなかったタイトルが爆発した際にアットウィキがそのタイトルである程度地位を確立していたなんてこともあるわけです。お手頃価格で買収できるのであれば、そこそこの規模感の攻略サイトやウィキサービスを買っておくというのは運営コストもそれほど高くないですから、シナジーを考えると良いと思います。


EGGRYPTOに関してはまだまだ未知数なのが正直な所。開始から1年で30万DL、少しプロモーション費用もかけたこともありユーザー数と売り上げは伸びているようですが、ブロックチェーンゲーム自体の知見が足りないので判断が難しい。当面は大きな影響はないでしょうから、ユーザー数のリリースが出る度に数字のチェックをしておきます。


ブロックチェーンゲームに関しては一度しっかりと情報を集めて勉強してから、GameWithとは別途まとめて考察したいと思います。


G.eSports関連への投資


最後にeSports関連への投資について。ここには他社への出資に加えて、自社チーム運営や大会の開催、元々の攻略班YouTuberの事業も含みます。


主に東南アジアのeSports企業へ出資を行っており、GCUBE ASIA、Gaming Monk、Infofed Pte、GFR Fund(GREEやMixiが主なLPのファンド)がポートフォリオに入っています。これら東南アジアのeSports企業は大量にあり過ぎるのと、各国のeSports企業勢力図を把握仕切るのは一般人にはかなり大変なので、拙者はあまり見ていません。買収や上場があり、営業外収益が発生したら儲けものという程度で見ておきましょう。それを目当てに株を仕込むのはあまりにもリスキーですしね(ソフトバンクとかはまた話が違うと思いますが)。


さて、他社への出資ではなく自社のeSports関連はどのような状態かと言いますと、やや右肩下がり。


GameWithはかなり早い段階で攻略サイトに加えて、自社の社員を使ってYouTubeチャンネルを運営してました。その中でもヒットしたのがモンストを主に実況している「なうしろ」さんコンビなのですが、サイトと同じくモンストのリリースから時間が経つにつれて微減が続いている状況です。特に今年に入ってからは月間1,000万 Viewを切ってしまっていて、ここから再度爆発というのは同チャンネルではXFLAGのタイトル次第でしょう。


これはGameWithかどうかに関係なく、スマホゲームタイトルで当たったYouTuber全員が直面する問題ですが、タイトル依存度の高さを解決する術はその人のトーク力とキャラクター次第。100万人の登録者のうち、メインのゲームを変えたらどれくらいの割合の人が引き続き見てくれるかは単純に数値化するのは難しいですし、移行するタイミングも選びにくい。いつかタイトルを変えないといけないけど、今変えたら視聴者が一気に減るという葛藤の中で判断を下さなければなりません。


GameWithは自社の社員の他に純粋なYouTuber事務所の機能も持っていますが、元々の攻略サイトとの相性のいい人を集めていたため、ややタイトル依存度の高いYouTuberが多く集まっている印象があるので、この事業に関しては層をがらりと変えるか、実況者たちのメインゲームに近いジャンルのヒットタイトルが生まれ続けない限り、高い成長率は見込めないでしょう。


一方で、eSportsチームを立ち上げてタイトル依存度が低めの実況者を集めてもいます。チーム立ち上げ時は「クラロワ」を採用したため、やはりタイトル依存度が高くゲームのユーザー数減少と共に視聴者も減っていましたが、「Fortnite」、「Apex」といったFPSタイトルのプレイヤーを最近は集めています。


単純にスマホゲーム、コンソールゲーム、PCゲーム、とデバイスでタイトル依存度が高いというわけではありませんが、コンソールやPCゲームの方がタイトル依存度が低いことの方が多いのです。特にFPSはその典型で「Call of Duty」「Battlefield」「R6S」など昔からの人気シリーズなど含めて大量のタイトルがあるものの、FPSというジャンル自体のファンが多いのでYouTuberがFPSというジャンルを離れない限り、タイトルを「Apex」や「Fortnite」に変えても引き続き見てくれる確率が高いのです。(R6SからFortniteは微妙じゃね等、ゲーム詳しい方は思うかもしれませんが、簡単のためスルーしてください)


直近の決算資料ではやや全体のView数が落ちていますが、一番人気の「ネフライト」(Fortnite)選手が昨年大爆発していた部分の下げと「なうしろ」(モンスト)の下げが主な要因ですのでこれからApex含めてタイトル依存度の低い選手やYouTuberを集めれば、数字自体は戻っていくでしょう。


この事業で最大の課題となるのはやはり選手の脱退で、選手と言えども大会に出場する競技選手もいれば配信をメインにするストリーマーという面倒な区分けがありまして、ストリーマーは脱退の可能性が高いというところですね。


正直ストリーマーはYouTuber事務所に所属するYouTuberと同じですので、ストリーマーが人気になればなるほどチーム側から提供できるサービスと自身のチャンネルから引かれる手数料の割が合わなくなってきます。そこを留めておく材料がGameWithにどれほどあるのか、ストリーマーとの関係性がどこまでのものかというのが今後人気ストリーマーを保持し続けるカギになります。


誰かひとりでもトップクラスのストリーマーが抜けた時は他の人も抜けると見てよいので、その際には速やかにこの事業部分を自身の分析による売上予測から大幅にカットした方が良いですね。


以上、各施策について見て来ました。かなり長文なので再度簡単にまとめておきますと


A.ニュースや新作タイトル情報を前面に出したポータル化
→ユーザー数やPVに関しては懐疑的


B.営業人員などを増やしゲーム紹介(受託型の攻略やタイアップ広告など)案件に注力
→順調。ユーザーが残っている間にさらに稼ぐ必要有


C.テレビCM等の大規模プロモーション
→一定のユーザー確保は成功したものの、定着率に不安有。ゲーム紹介で回収後、その資金の用途次第


D.アットウィキ買収などユーザー層の拡張
→それほど大きな影響は見られないものの、仕込んでおく利点有


E.ブロックチェーンゲームの運営
→未知数


F.英語版 GameWithなど海外展開
→地道にやっているものの、詳細不明。2020年Q3時点で月間1,700万PV。2021年Q3資料より、あつ森フィーバーでPV激増はしたものの、その後定着はしていない


G.eSports関連への投資(自社チーム運営、大会開催、YouTuber関連も含む)
→今まで支えて来たタイトル依存度の高いYouTuberは厳しい、タイトル依存度の低いeSports選手が増えれば成長見込み有。但し、ストリーマーの脱退ニュースは要チェック


各施策についての所感はこんなところになります。


全体としては依然としては攻略部分のPV低下で厳しい状態が続いていますので、やはり定期的に一定規模以上のヒットタイトルでしっかりと攻略サイト1位を取り続ける必要があります。特に今年はウマ娘がありますので、1~2年スパンで安定したPVを稼げるチャンスを逃さないためにも注力する時期でしょう。


ポータル化はニュースを多く取り扱っていますが、ジリ貧な気がしてしまうのでeSports事業に力を入れるのであれば、リスキーですがコミュニティ機能寄りにするのも有りだったかなと後付けながら思えます。


2022年5月期はウマ娘の恩恵をしっかりと受け漏らさないようにしながら、仕込み続ける1年になるのではないでしょうか。


拙者の現時点での展望は微増と微減を繰り返し、横ばいが続きそうです。メインのGameWithはヒットタイトルを定期的に抑えれば最低限の売上は確保できますが、他の新規事業が大きくなるイメージは今のところ沸かず、やはり数年は地道な仕込み期間ですかね。


2021年10月6日の2022年5月期Q1決算発表後の終値が529円で時価総額は約97億円、PER 約115倍ですから自信を持ってオススメできる銘柄とは程遠い状況です。


決算毎に新規事業の状態を見つつ、既存事業の安定度合いもチェックしながら、長い目で様子見していきます。


2021年5月期Q1の決算分析についてはまた別途記事をアップしようと思っていますので、よかったらチェックしてみてください。


ではまた!