こんにちは、GOEMON(@goemon_tokyo)です。

先日のWHOによるコロナ緊急事態宣言の解除、日本の5類への移行に続いて、米国でも「公衆衛生緊急事態宣言」が解除されました。

日経新聞:https://www.nikkei.com/article/DGXZQOGN10E0F0Q3A510C2000000/?type=my#AAAUAgAAMA

すでに、普段の活動はコロナ禍前と同じか、それ以上に活発な業種も見受けられますが、米国もこれで日常が戻ってきたと言えるでしょう。

しかし、低所得者層向けの公的医療保険「メディケイド」に加入している1,500万人が一斉に脱落する恐れがあります。

メディケイドには、緊急事態宣言下で適用されていた特例措置があり、州によって条件は異なりますが、年収が1万8,000ドル以下であれば、宣言下では年収上限を超えても保険に加入し続けることができたそうです。

米KFFによると、コロナ禍でメディケイドの加入者は2,000万人も増えたと発表されていますので、これはどれだけの数字かがわかります。

この数字を見て思うのは、今後の心配もありますが、インフレの要因がなくなるという期待です。

年収が1万8,000ドル以下であれば加入できる保険に、3年間で2,000万人も増えています。厚生労働省の2018年の資料によると、2018年時点でのメディケイドの加入者は5,782万人ですから、約35%増えたことになります。

問題は、これらの加入者の現在の収入です。コロナが落ち着くにつれて、サービス業を中心に雇用が活発になり、働き手が不足していることで賃金インフレが起きています。

平均時給も爆発的に上昇している中で、メディケイドの加入者の年収が上がらないはずがありません。特にコロナ禍でメディケイドに加入した2,000万人は、元々は健康に働いていたでしょうし、影響の大きかったサービス業従事者も多かったことでしょう。

現在の米国の雇用市場では、サービス業を中心に働き手が不足しています。そうなると、当然ながら2,000万人の大多数がコロナ前よりも良い条件で雇用されていることが容易に想像できます。そうしたそこそこの年収の労働者が、特例が適用された低所得者向けの保険を継続できていたことは、インフレに少なからず影響していたと思われます。

日本と違い、米国は個人の医療費が高い国です。少し古いデータですが、米国の国家計画における保険・医療費の支出割合は21.1%で、日本の4.6%の4倍以上です。

ご自身の社会保険料や国民健康保険料の4倍を計算してみると、その金額が想像できるかと思います。それが一気に低所得者層向けの特別な保険に切り替わり、さらに年収がアップすれば、当然自由に使えるお金が増えます。そうなると、需要が高まり、インフレが加速する要因になりますね。

今回の緊急事態宣言の解除により、こうした特例がなくなることで、コロナ禍前と同じように高い民間保険に加入することになります。これは、家計に多少なりともダメージを与えることになります。

家計が苦しくなると、消費が鈍り、消費が鈍ると企業は価格を下げる動機になります。

今後、緊急事態宣言の解除の影響がどの程度あるのか、逆に経済活動が活発化してインフレが加速してしまうのかは、データを見ないとわかりませんが、少なくとも、コロナ禍でメディケイドに加入し、現在は普通に働いている家計にはダメージとなりそうです。

それではまた!

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