■はじめに
2025年に入って話題のAIエージェント機能「Deep Research」。ChatGPT、Perplexity、Geminiの3社それぞれに有料課金して試してみたので、各社のDeep Research機能を徹底的に比較していきます。
長い記事ですが、どのサービスに課金するか迷っている方はぜひ比較結果を詳しくご覧ください。
結論から言うと Deep Researchに関してはChatGPT >>>>> Gemini > Perplexityという印象です。
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※2月21日追記:Grok3のDeep Researchも使ってみました。その結果、
ChatGPT >>>>> Gemini = Grok3 > Perplexity
という印象でした。
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ちょうど本日発表されたxAIのGrok3 Deep Researchはベンチマークではスコアがさらに高いようですが、今手元で試せる3社のDeep Researchでは ChatGPTが圧勝かと思います。高いだけあります。
仕事で使えるレベルではChatGPTだけ合格で他2社は正直まだまだでした。
それでは本編です。
■リサーチのお題探し
各社のサービスそれぞれに得意不得意があるかもしれないので、最適なリサーチのお題を3つ出して比較します。
まずは3社の生成AIに対し、Deep Researchを比較するために最適なプロンプトを3つ出してもらいましょう。
生成AI3社(ChatGPT、Perplexity、Gemini)のDeep Research機能について比較したいです。Deep Researchを様々な用途で比較するために3つのリサーチを行ってもらおうと考えています。
そのリサーチのお題として最適なプロンプトを3つ、なぜそのお題を選んだかの理由と一緒に教えてください。
なお、お題は一般的な社会人がDeep Researchを実際に使い、仕事に役立てられるようなものにしてください。
どのような職業の人がどのようなシチュエーションでそのプロンプトをDeep Researchで使用すると役立つかも考えてください。
▼回答結果(サービス名に回答の全文リンク貼っておきます)
- 新規市場参入のための競合分析
- 最新の業界トレンドと技術革新の調査
- 消費者行動と購買パターンの分析
- 市場動向分析プロンプト
- 医療研究レビュープロンプト
- サステナビリティ戦略プロンプト
・Gemini 2.0 Flash
- 〇〇市場における最新トレンドと今後の展望
- 〇〇業界における主要企業の戦略比較
- 〇〇に関する最新の規制動向と企業への影響
どれも似たような回答となったので、回答が被っている下記2つは採用決定。
- 市場分析
- 業界トレンドと主要企業の戦略
これに加えて、個人的に3社のDeep Researchを使っていて能力差が気になっていた、”リスト作成系”のリサーチを3つ目としました。
■Deep Research開始
先ほどまでの回答結果をもとに考えて、最終的に下記の3つのプロンプトでDeep Researchしてもらいます。
- 生成AIを活用したアプリケーション市場動向分析
- ゲーム業界のトレンドと主要企業の戦略
- 個人で開発している生成AIを活用したサービスやアプリケーションの成功事例集
下記に実際に入力したプロンプトと各生成AIのDeep Researchの結果を載せていきます。回答を全文載せると膨大な量になってしまうので、ここでは回答ごとにリンクを貼り、評価のみを書いておきます。
普通に読み物として面白いレポートになっているので、興味のある方は全文も読んでみてください。
ちなみに、入力プロンプトはGemini 2.0 FlashでDeep Researchでお題を調べるためにふさわしいプロンプトを考えてもらったものです。
1.生成AIを活用したアプリケーション市場動向分析
入力プロンプト
生成AIを活用したアプリケーション市場の現状、成長予測、主要プレイヤー、技術トレンド、課題、今後の展望について包括的に分析してください。特に、以下の点に焦点を当ててください。
* 市場規模と成長率:2023年から2030年までの市場規模と年平均成長率(CAGR)を予測し、その要因を分析してください。
* 主要プレイヤー:国内外の主要なアプリケーション開発企業とその戦略、強み、弱みを比較分析してください。
* 技術トレンド:自然言語処理(NLP)、画像生成、音楽生成など、主要な技術トレンドとその進化、影響力を評価してください。
* 課題:プライバシー、倫理、著作権など、市場成長における課題とその解決策について考察してください。
* 今後の展望:生成AIが社会や産業にもたらす影響、新たなビジネスモデルの可能性について論述してください。
ChatGPTとGeminiのDeep Rsearchはプロンプトを入力後に、AIからプロンプトについて確認の質問が来ます。
それに答えて問題がなければ調査を開始してくれます。このやり取りはPerplexityにはありません。個人的にはこのやり取りはあった方が良いと感じます。
ChatGPTからの質問

▼回答結果(サービス名に回答全文へのリンク)
・全体的に:”生成AIを活用したアプリケーション市場”というそもそも定義が難しい市場についての分析だったので、まずはそこで少し差が付いた感があります。
●Perplexity Deep Research(2つ回答があります。下の方が正しい回答):すぐ調査完了。1,2分
“生成AIを活用したアプリケーション”ではなく、ChatGPTやGeminiといった”生成AIアプリケーション”自体のレポートを提出してきた。
追加で「”生成AIアプリケーション”ではなく、”生成AIを活用したアプリケーション”についてリサーチしてください。」とフォローアップして再度リサーチしてもらった。
再度リサーチしてもらった結果はコンパクトに要点を抑えたレポートといった所。悪くはないものの”Deep”かどうかと言われると、んー…。
主要プレイヤーの分析や技術トレンドに関しても薄い印象です。
●Gemini 1.5 Pro with Deep Research(PDFファイル):10分ぐらい?
こちらもPerplexityと同様に悪くはないけど”Deep”かと言われると微妙です。
普通にGoogleで検索したら誰かがブログ記事にまとめているレベルで、お金を払う価値は感じにくいかもしれません。
特に10分ちょっとかかってこれ?という感じもあります。
●ChatGPT Deep Research:15分ぐらい?
調査に時間はかかりますが、お願いした項目についてしっかりと分析した調査結果をレポートしてくれています。
ただ、1回目のDeep Researchでは、Perplexityと同じく”生成AIアプリケーション”自体のレポートだったため、改めて”生成AIアプリケーションではなく、生成AIを活用したアプリケーション市場”と念押ししたものの、上手く伝わらずに1回目と同じ調査結果となってしまいました。
この辺は定義が難しいプロンプトの場合、注意が必要そうです。
●結論
「生成AIを活用したアプリケーション市場動向分析」においてはChatGPTが一番良いレポート結果という印象です。
ただ、月額3万円を払う価値があるかと言われるとこの調査レポートでは微妙です。GeminiやPerplexityであれば月額3,000円程度なので、10倍の差までは感じませんでした。
2.ゲーム業界のトレンドと主要企業の戦略
続いて、2つ目のお題をリサーチしてもらいましょう。今回はプロンプト自体もかなり詳しく書いて、詳細にレポート形式を指定しています。
入力したプロンプト↓
ゲーム業界の最新トレンドと、主要企業(例:任天堂、ソニー、マイクロソフトなど)の具体的な戦略について、Deep Researchを用いて徹底的に分析してください。以下の観点を中心に、詳細なレポートを作成してください。
1. **市場トレンド:**
* 現在のゲーム市場規模、成長率、主要な収益源(例:コンソール、PC、モバイル、クラウドなど)
* 注目される技術トレンド(例:メタバース、NFT、AI、Web3など)
* ユーザー層の変化と多様化(例:年齢層、性別、プレイスタイルなど)
* 新興市場の動向(例:アジア、南米など)
2. **主要企業の戦略:**
* 各社の強みと弱み、SWOT分析
* 既存事業の戦略(例:コンソールゲーム、オンラインゲーム、モバイルゲームなど)
* 新規事業の戦略(例:メタバース参入、NFTゲーム開発、クラウドゲーム展開など)
* M&Aや提携戦略
* マーケティング戦略、ブランド戦略
* 開発体制、組織体制
3. **今後の展望:**
* 今後数年間のゲーム業界の予測
* 主要企業の今後の戦略、注力分野
* 業界におけるリスクと機会
**レポート形式:**
* 各項目について、具体的なデータや事例を引用しながら、詳細に解説してください。
* 図表やグラフなどを活用して、情報を分かりやすく整理してください。
* 参考文献や情報ソースを明記してください。
▼回答結果(サービス名に回答全文へのリンク)
●Perplexity Deep Research:5分程度
1回目、20分ほど経っても最後の項目進まず停止したため、やり直し。2回目も途中で止まってしまい、一度諦めました。
翌日やり直したところ、最後までリサーチが進みました。
レポートの内容は一言でいうと、薄い!
とても”Deep Research”とは言えないレベルの内容です。数字も怪しい箇所が多いですね。
たぶん無料で使えるChatGPT 4oのWeb検索や、Deep Researchを使わずにPerplexityでR1を使った方がいいレポートが出てくる気がします。
試しにPerplexityでDeep Researchを使わずにR1で同じプロンプトを入力したところ、ほぼ同じ内容が出てきました。Deep Researchとは…:Perplexity R1 回答全文
●Gemini 1.5 Pro with Deep Research(PDF):10分程度
データの正確性やレポート内の表にデータの抜け漏れがあります。このレポートに限らず、GeminiのDeep Researchは表形式でまとめてもらうと、表の中にデータが入っておらず空欄で出力してくることが多く、この点は残念。
レポート全体としてはお願いした項目を上手くまとめていて、及第点に達しているとは言えそうです。
●ChatGPT Deep Research:15分~20分
ヤバいです。とんでもなく濃いです。正直、面倒で全文はまだ読んでないです。笑
それぐらい濃い。
これがXでいろんな方が言っている「コンサルに頼んだレポートよりすごい」ってやつか!と驚きました。
特に任天堂、ソニー、マイクロソフトなど企業ごとの分析は相当な濃さです。情報の正確性はすべてチェックはできていませんが、ザッと目を通したところ合ってそうです。
ウェブ上に記事や調査レポートがすでに大量に存在する企業の分析の場合、ChatGPTのDeep Researchであればここまで分析してまとめてくれるようです。これは驚きました。
●結論
「ゲーム業界のトレンドと主要企業の戦略」のDeep Researchは圧倒的な差をつけてChatGPTの優勝です。
レベルが違いすぎましたね。
Perplexityは情報の正確性の怪しさとプロンプトに大量の情報を入れるとギブアップしてしまうのが難点でした。
3.個人で開発している生成AIを活用したサービスやアプリケーションの成功事例集
3つ目は個人的に差が気になっていたリスト系のリサーチです。
入力したプロンプト↓
生成AIを活用した個人開発サービスの成功事例を分析し、以下の項目を含むレポートを作成してください。
1. サービスの概要:
– サービス名、開発者、概要、URL
– ターゲットユーザー、解決する課題
– 活用されている生成AI技術(具体的なモデル名やAPIなど)
2. 成功要因の分析:
– 技術的な優位性、ビジネスモデル、マーケティング戦略
– 開発者のバックグラウンド、開発ストーリー
– ユーザーからのフィードバック、評価
– 競合サービスとの比較
3. 具体的な事例紹介:
– 複数の成功事例を詳細に紹介(各事例ごとに上記の項目を記述)
4. 結論と提言:
– 成功事例から得られる教訓、示唆
– 今後のトレンド、課題
– 個人開発者が生成AIを活用する際の注意点
レポートの構成:
– 各事例を以下の項目で整理:サービス概要、成功要因、技術詳細、開発ストーリー、収益モデル、ユーザー評価
– 図表やグラフを適切に活用
– 参考文献リストを添付
▼回答結果(サービス名に回答全文へのリンク)
●Gemini 1.5 Pro with Deep Research:10分程度
もう少し頑張って欲しい感は否めませんが、一応最低限のリサーチ結果”らしきもの”は出してくれた印象です。
問題は「生成AIを活用した個人開発サービス」と言っているにも関わらず、リサーチ結果に平然と「生成AIは使用されていません」と記載してあるサービスを入れてくるところ。笑
8つの事例のうち、2つが生成AIを活用していない個人開発サービスでした。
やっぱりちょっとおバカさんなのね、あなた。という感じです。
●Perplexity Deep Research:10分程度
ゴミみたいな結果です。なんの参考にもならないレポートでした。
プロンプトが悪かったのか、相性が悪かったのか。
●ChatGPT Deep Research:15分程度
しっかりとプロンプトの内容に対して調査し、レポートにまとめてくれています。
3つの事例を詳しく分析、紹介し、最後に結論と提言でキレイにまとめています。
ボリュームはそこそこで、おそらくプロンプトの時点で”成功例を10個”と個数をもう少し多めに指定してあげていれば、さらに多くの事例を集めたレポートになりそうです。
●結論
「個人で開発している生成AIを活用したサービスやアプリケーションの成功事例集」でもChatGPTのDeep Researchが圧勝でした。
というか、他2社はこの調査では使い物になりませんでした。
プロンプトを作る段階で意図したリスト系のリサーチにはならなかったのですが、まぁ良しとします。
■総括
以上、3社の生成AI Deep Researchを3つのプロンプトで試してみました。
結果は冒頭でもお伝えした通り、ChatGPT >>>>> Gemini > Perplexity となりました。
この結果はあくまでも私の印象ですが、リサーチ結果をご覧になった多くの方は同じ印象かと思います。
ChatGPTのDeep Researchの性能は圧倒的、Geminiはリサーチ対象によっては使えるかも、Perplexityは正直遊びでしか使えない。といった感じでしょうか。
私のように一人企業経営者や個人事業主でバイトやインターン、社員を雇うのは大変だしお金がかかるけど、アシスタントが欲しい。新規事業やるにしても調査に膨大な時間をかけるための時間がなかなか確保できない。といった方は月3万円しますが、ChatGPTのProプラン契約は1度はありだと思います。
1ヶ月だけ使ってみて、それで満足できなければ辞めれば良いのでバイトを試しに数日間雇った金額と思えば安いもんです。
Deep Research以外にもChatGPTのo1 Pro Modeはかなり頭がよくて、何かわからないことを聞くと大抵はめちゃくちゃしっかり回答してくれるので、頼れる人がいない私のような人間にはとっても有り難いです。
ぜひ、試してみてください。
この記事がDeep Researchのためにどの生成AIを契約しようか迷っている方の役に経てば幸いです。
特にアフィやら何やらはやっていないので、純粋なユーザーの意見として参考にして貰えればと思います。
■最後に(続編)
今回の記事を書いている途中、ゲーム業界についてChatGPTが出したレポートに衝撃を受けました。こんなに濃いの書けるのかと。
そこで、新書ぐらいのボリュームだったらChatGPTで書けるのでは?と思い、実際に書いてみました。さすがにこの記事にくっつけると長すぎるため、記事を分けますのでそちらも是非興味があれば読んでみてください。
それではまた!