ChatGPTやGemini、Claudeなどの生成AIはこの記事に辿り着いている方なら、一通り使われていると思います。

しかし、Twitterやニュースでちょいちょい流れてくるLLaMAやGemmaといったAIは触ったことがないし、普段使っているAIと違ってチャットでサクっと使える感じでもありません。

今回は上記の2種類のAIについて違いを調べてみましたので、共有します。

製品型と基盤モデル

まずは初めに、ChatGPTやGeminiのようなAIは製品型AIで、LLaMAやGemmaのようなAIは基盤モデル(オープンモデル)と区別されるようです。

利用目的や導入方法において大きな違いがあります。以下では、それぞれの特徴やメリット・デメリットを比較し、どのようなシーンでどちらを選ぶべきかを解説します。

1. 製品型AIとは?

代表例

  • ChatGPT(OpenAI)
  • Gemini(Google)

特徴

  • 即時利用可能:ウェブブラウザやアプリで簡単にアクセス。
  • 高性能:最新の大規模言語モデル(LLM)を搭載。
  • ユーザーフレンドリー:直感的なUIとサポート体制。

メリット

  • 導入が容易:技術的な知識がなくても利用可能。
  • 継続的なアップデート:常に最新のモデルや機能が利用できる。
  • 信頼性:大手企業が提供するため、安定したサービスが期待できる。

デメリット

  • カスタマイズの制限:モデルの内部構造や学習データにアクセスできない。
  • コスト:利用量に応じた課金が発生する場合が多い。
  • データの取り扱い:入力したデータが外部サーバーに送信されるため、機密性の高い情報の扱いには注意が必要。

2. 基盤モデル(オープンモデル)とは?

代表例

  • LLaMA(Meta)
  • Gemma(Google)

特徴

  • オープンソース:モデルの構造や学習データが公開されている。
  • 高い柔軟性:独自のカスタマイズやファインチューニングが可能。
  • 自己ホスティング:ローカル環境やクラウド上での運用が可能。

メリット

  • カスタマイズ性:特定の用途や業界に特化したモデルの構築が可能。
  • コスト効率:初期投資は必要だが、長期的にはコストを抑えられる場合がある。
  • データの機密性:ローカル環境での運用により、データの外部流出リスクを低減。

デメリット

  • 導入の複雑さ:環境構築やモデルの運用には専門的な知識が必要。
  • 保守・管理の負担:モデルのアップデートやセキュリティ対策を自社で行う必要がある。
  • 性能の差異:最新の製品型AIと比較すると、性能面で劣る場合がある。

3. 利用シーン別の選択ガイド

利用シーン推奨モデル理由
迅速なプロトタイピング製品型AI導入が容易で、すぐに試せる。
特定業界向けのカスタムAI開発基盤モデル業界特化のチューニングが可能。
機密性の高いデータの処理基盤モデルローカル環境での運用により、データの安全性を確保。
コストを抑えた長期運用基盤モデル初期投資後のランニングコストが低い。
多機能なAIアシスタントの利用製品型AI高性能なモデルと豊富な機能が利用可能。

4. まとめ

製品型AIと基盤モデルは、それぞれに強みと弱みがあります。導入目的や利用シーンに応じて、最適な選択をすることが重要です。以下のポイントを参考に、自社のニーズに合ったAIモデルを選定しましょう。

  • 導入の容易さを重視する場合は、製品型AI
  • カスタマイズ性やデータの機密性を重視する場合は、基盤モデル

ざっくりと2種類の違いは上記のようになります。

普段使いはあまりしなそうな基盤モデルですが、ローカルまたは自社ホストのサーバーなどに組み込むことで活用の幅が広がりそうですね。

また、カスタマイズが可能なのでそのサービス内で独自のトレーニングをさせたり、細かな調整をしたい場合にも有用と言えそうです。

特に「ファインチューニング」という特定のデータや設定を学習させて(チューニング)、ユニークな応答ができるAIを作り込めるのが特徴で、用途によっては選択肢としてアリかもしれません。

いまいち具体的にどのような時にこっちに基盤モデルを使うべきかわからなかったので、Geminiで調べて例をあげてもらいました。

ウェブアプリ・アプリ開発でオープン基盤モデルを使うメリット

  1. コスト削減の可能性(特に大規模利用時):
    • API利用料 vs 運用コスト: ChatGPTやGeminiのAPIは、利用量(トークン数)に応じて料金が発生します。アプリのユーザーが増えたり、AIの利用頻度が高くなると、API利用料がかなり高額になる可能性があります。
    • 自前で運用: オープンモデルを自社のサーバーや契約しているクラウド(AWS, GCP, Azureなど)にデプロイして運用すれば、API利用料は発生しません。代わりにサーバー維持費や運用人件費がかかりますが、利用量が非常に多い場合は、APIよりトータルコストを抑えられる可能性があります。推論(AIに処理をさせること)に特化した安価なホスティングサービスも出てきています。
  2. 高度なカスタマイズと差別化:
    • ファインチューニング: これが最大のメリットの一つです。オープンモデルは、特定の業界知識、専門用語、自社データ、あるいは特定のキャラクターの口調などを追加学習(ファインチューニング)させることで、アプリの目的に特化した、より精度の高い、あるいはユニークな応答をするAIを作り込めます。
    • 独自の機能: 例えば、特定の文体を生成する小説執筆支援アプリ、専門用語に強い法律相談ボット、自社製品について詳細に答えられるカスタマーサポートAIなど、汎用APIでは難しい、アプリ独自のAI機能を実現しやすくなります。
  3. データプライバシーとセキュリティの向上:
    • データ管理: APIを利用する場合、ユーザーが入力したデータやアプリのデータを外部(OpenAIやGoogleなど)に送信することになります。プライバシーポリシーや規約を確認する必要があり、特に機密性の高い情報を扱うアプリでは懸念点となり得ます。
    • クローズドな環境: オープンモデルを自社の管理下にあるサーバーや、プライベートなクラウド環境で運用すれば、データを外部に出すことなくAI処理を行えます。これは、医療、金融、法務など、データプライバシー要件が厳しい分野のアプリ開発において非常に重要です。
  4. 低レイテンシ(応答速度)の実現:
    • ネットワーク遅延の削減: API呼び出しはインターネットを経由するため、どうしてもネットワーク遅延が発生します。モデルをアプリのサーバーに近い場所(同じデータセンターなど)で動かせば、この遅延を最小限に抑え、ユーザーにとってより応答性の高い(サクサク動く)体験を提供できる可能性があります。リアルタイム性が求められるチャットボットやインタラクティブな機能で有利です。
  5. オフライン機能の実装:
    • ローカル実行: 比較的小さなオープンモデルであれば、ユーザーのデバイス(PCやスマートフォン)上で直接動かすことも不可能ではありません(技術的なハードルはあります)。これにより、インターネット接続がない環境でもAI機能が利用できるアプリ(例: オフライン翻訳、文章校正ツールなど)を開発できる可能性があります。
  6. ベンダーロックインの回避:
    • 自由な選択: 特定の企業のAPIに依存すると、その企業の料金体系、利用規約、API仕様の変更などにアプリの機能やコストが左右されます。オープンモデルを使えば、基盤となるモデルや運用インフラを比較的自由に選択・変更でき、特定のベンダーに縛られるリスクを低減できます。
  7. 開発・実験のしやすさ:
    • コストを気にせず試行錯誤: 開発段階では、様々なプロンプトやモデル設定を試す必要があります。APIだとその試行錯誤にもコストがかかりますが、手元や開発環境でモデルを動かせれば、コストを気にせず自由に実験できます。

このようなメリットがあるようです。

ただですね、コストを調べてみたらこうした基盤モデルの中でも高性能なモデルをローカルで動かすには100万,200万レベルの初期投資をしてGPUを購入する必要がありました。

個人や小規模な企業ではそもそも非現実的な選択肢なようです。

そこで基盤モデルを低価格で使えるサービスがないか調べたところ、Groq.comOpenRouterという2つのサービスが良さそうでした。

これらのサービスを使えば、自前でGPUを用意しなくてもクラウド上で基盤モデルを用意してくれているので、API経由で使用できます。

API経由なので、普通の製品型AIと同じようにトークン消費量に応じてコストが発生してしまい、初期投資だけかさむけど大量に使う場合は安い。という基盤モデルの大きなメリット失われてはしまうものの、他のメリットは引き続き享受できます。

あえてこちらを選ぶメリットがあると思えるサービスのアイデアがないのでイマイチピンと来ていませんが、将来的にそういったアイデアがあるかもしれないので忘備録として残しておきます。

それでは!

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